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アトリエかわしろ一級建築士事務所

Author:アトリエかわしろ一級建築士事務所
「がま口から建築物まで」
日々の生活につながっている モノづくり・住まいづくりのためのデザイン事務所です。

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03月01日(火)

ミハラヤスヒロ のプルオーバーシャツ

ずっと以前は 鼠色(ねずみいろ) をどのように扱っていいのか、実のところよく分かりませんでした。
それは文字通り 「白黒はっきりしない、曖昧で、どこかぼんやりと 霧の中をさまよっているような感覚」 があったからかもしれません。
グレー(gray) という言葉の響きとはちょっと違う、もっと微妙なニュアンスの、例えば ひんやりとした涼しげな 銀鼠(ぎんねず) から、どこやら暖かな 利休鼠(りきゅうねずみ) まで、華やかさとは無縁の色彩感覚が豊かになったのは、 贅沢をいましめる江戸時代の庶民の暮らしぶり に端を発しているものと思われます。

簡素で慎ましい生活の中にも、何らかの美意識を見い出す独自の文化を、時として見失いそうになる(西洋)ファッションの分野で、 ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO) が時折みせる 「鼠色の表現」 に、同じ日本人として何かしら相通じるものを感じるのです。

ミハラヤスヒロのプルオーバーシャツ

ここにある プルオーバーシャツ は、男性用にしては珍しく胸元にフリルをあしらっていますが、もしこれが白や黒、或いは原色などの はっきりした色彩 であったならば、品位を欠いたものになりかねないところですが、 ミハラ はここに、ざっくりとした やわらか な生地と、緻密で ぱりっ とした生地という、異なる表情の木綿生地を使い分けながら、どちらも 鼠色 に染めることで、シックな雰囲気にまとめています。
この、綺麗色ではないけれど、どこか温かみのある 鼠色 という選択肢によって、素材本来の持つ性格 というか、表情のようなものが実に上手くいかされてくる。
襟元と袖口を 「光沢のある鼠」 で引き締め、同素材のフリルは端を 切りっぱなし にする事で、意図的に ほつれ を生じさせ、曖昧にぼかしてしまう。 それらをポロシャツのような肌触りのよい 「鹿の子地の鼠」 がとりなす、といった具合にです。
履き古し、色褪せたジーンズの上に さらり と羽織ると、日本人の肌や髪の色に違和感なく調和してしまう、はっきりしない 鼠色 だけに許された魅力。

ミハラヤスヒロのプルオーバーシャツ

ミハラ は、彼のキャリアの出発点でもある シューズデザイン において、意図的に異素材同士を衝突させ、組み合わせるという 断絶的な手法 を展開していますが、その一方で、心の奥底に眠っていたであろう 伝統的な色彩感覚 を用いることで、素材本来の持つ ありのままの表情、すなわち 「テクスチャー(texture)を表現する」 という、 テキスタイルデザインの本質 に踏み込もうとしているように思えるのです。
 

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Comment


    
 

No Title

こんばんは。
かっこいいデザインですね♪
春先にタイトな黒のパンツとあわせたら、胸元のアクセントが際立って尚且つ渋くきまりそうです!!
もう少し涼しくなったら、それに白のサンダルでも合いそうな感じがしますね♪

 

No Title

ミハラヤスヒロは、工場に足をはこんで職人と一緒にモノづくりをしている印象がありますが、そんな人たちのつくるモノは大抵信用してよいような気がします。
ねずみ色もそうですが、茶系の色合いの感覚も優れているので、そのあたりが好みの方にもおすすめです。