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アトリエかわしろ一級建築士事務所

Author:アトリエかわしろ一級建築士事務所
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04月21日(水)

アルド・わたしだけのひみつのともだち

今から十数年前になりますが、信州・安曇野に 道祖神(どうそじん)のある風景 を描くために滞在していた折、ちいさな私設の絵本美術館を訪ねました。
そこで出会った絵本の原画が、今回紹介する絵本の作者、ジョン・バーニンガム(John Burningham) の作品だったのです。

「アルド・わたしだけのひみつのともだち」 は、作者の故郷、イギリスに住む(であろう)女の子と、彼女のこころの友(きっと彼女にしかみえない)アルド の姿を綴った物語です。

アルド・わたしだけのひみつのともだち
「アルド・わたしだけのひみつのともだち」
ジョン・バーニンガム 作 、谷川 俊太郎 訳 (
ほるぷ出版)

物語はジョンの描く、ペンとパステルによる飾らない、ありのままのやさしいタッチの絵ではじまります。それは、これまでの彼の絵本と同じように、一定のおだやかなリズムを奏でるかのように続いてゆきます。
ところが、途中で何度か画風が一変します。そのシーンは、たぶん女の子とアルドだけの世界、現実世界から飛び越えたところなのでしょうか。とても静かな、言葉すら必要ないシーンです。

断片的に数回描かれる空想の世界は、ジョンのいつものおだやかなリズムを覆すかのように、みる者のこころに届けてくれるのです。

幸運にも、僕は安曇野でそのシーンの原画をみることができました。

一般的に、絵本の原画は印刷される絵本よりもやや大きい位のサイズなのですが、そのシーンの原画はかなり大きなものでした。
大きな画面の背景はよくみると、アクリル絵の具かなにかで描かれたようで、かなり抽象的で力強く、いつもの彼のタッチとは対照的です。 その大きな背景のなかに、小さく女の子とアルドの切り取られた絵が貼り付けてあるのです(こちらはいつものやさしいタッチです)。
つまり、コラージュのような手法で、物語の大切な場面を 際立った印象深いもの に仕上たのです。

原画でみると、作者が描いた二人の絵を、自らの手でハサミで切り取り、ノリで貼りつけたようすが手に取るように分かり、作品に対する愛情の深さを感じるに十分なものでした。
飾らないジョンのスタイルを更に昇華させた作品として、個人的に評価しています。

そして、これも個人的な意見になりますが、もしかしたら作者は物語を描き始めた当初は、このようなコラージュの手法を考えていたわけではなく、制作途中に発案したのではないか… と、想像したりもします。
そのくらい、自由で生き生きした力を感じさせてくれる作品です。
 

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