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アトリエかわしろ一級建築士事務所

Author:アトリエかわしろ一級建築士事務所
「がま口から建築物まで」
日々の生活につながっている モノづくり・住まいづくりのためのデザイン事務所です。

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04月08日(木)

FEB DESK

日本人が海外で生活をすると感じること。 それは、畳を中心とした 椅子のない、床に座っての暮らしが他に類をみないくらい洗練された美しいものである ということです。

できるだけ何も置かれていない床の上では、就寝時にだけ押入から布団を取り出し、寝床が延べられますが、翌朝には元通りに片付けることができます。この当たり前のような所作が 美しい と気づいて以来、建物とかインテリアとかランドスケープなどというカテゴリに囚われることなく、ライフスタイルを創造できるようになったような気がします。

そのように考えると、食事や読書や来客の時に、コンパクトな机というか、台のようなものがあると、それを必要に応じて組み合わせたり、自由にレイアウトして生活ができそうだ との考えに至りました。
巷で 文机(ふづくえ) と呼ばれる小テーブルが、それにあたるのですが、いざ探してみると、数はそれなりにあるのですが、安価であっても粗悪なつくりで長く使えないものや、重厚でやたら手の込んだ不自由な形式の家具ばかりなのでした。

今や文机は時代遅れな存在で、真面目に向き合うメーカーやデザイナーはいないのかな。 と、思いながら、いろいろ調べてみると、腕の良い職人さんがいることで知られる、香川県の桜製作所で 「これぞ」 という文机を手がけていることを探し当てます。

FEB DESK

中村好文デザインの 「FEB DESK」 は、Feb.=February つまり、千年近い歴史を持つ 二月堂 と呼ばれる文机を現代の生活に合うように再考された実用品ともいえる家具です。
とても静かな物腰は、実は様々な冒険や創意工夫の集積であることが、実際に使ってみると、じわじわと伝わってくるのですが、そう見せないところが実用品たる所以なのです。

まず、素材に桐材とブラックウォルナットを使用していますが、普通考えない取り合わせも、手が直接触れる天板や抽斗(ひきだし)には、やわらかく温もりのある桐材を。 移動の際にぶつけやすい端部と、板状の脚部にはブラックウォルナット という具合に、使い勝手に配慮した組み合わせを、それぞれの色合いの特徴を見事に生かして、何ごともなかったかのようにあっさりとまとめています。

FEB DESK

ただ、無垢の板材でしかも幅広の異なる部材同士を、実際の家具として、何ごともなくまとめるためには、それに見合った適切な材料の選択と、加工の技術が並大抵ではないはずなのに、よくもこのようにつくってしまったものだと、感心することしきりです。

伝統の 二月堂 は、脚部が折りたたみ式になっていて、その汎用性の高さを FEB DESK も継承していますが、ここでは、折りたたまれた状態でも 「置き床」 のようにして使うことができるよう、開閉の機構やそのたたずまいにまでも配慮の目が行き渡っていることを申し添えたいと思います。
 

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