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アトリエかわしろ一級建築士事務所

Author:アトリエかわしろ一級建築士事務所
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03月05日(金)

瓦の欠片(かけら)

桜は華麗。 梅は可憐。

甘い香りに誘われて、ふらふらと梅林をさまよいました。

丸いちいさな蕾が、ぽつぽつと膨らみ、ようよう花が咲き始めた頃合いが、華やかとはいえないけれど、慎ましいのです。
梅の枝ぶりは、桜や楓などのようにスマートではなく、お世辞にも美しいとは思っていませんでした。 少なくとも昨年までは。
どこか不器用で、何だか突飛な感じがしていたからでしょう。 それに、幹や枝は黒くてがさがさしているのですから。

それが先日は、蕾が膨らんで、昔の古い感じのよい住宅などで度々みられたような、あの裸電球を覆うやわらかい乳白ガラスのシェードのような花びらのかたちが、ごつごつの枝によって、余程可憐にみえるのではないかと考えました。
苔むした老木ほど、そう思えるのです。

でこぼこした山の中なら兎も角、平坦な梅林の中でも、どの幹も、めいめいが勝手に捻じ曲がって真っすぐではないのですが、それが却って素直で自然の事のような気がしました。

そのような美しさの秘密を知っている、草や枯葉に覆われた土に目をやると、ちいさな欠片(かけら)が誰にも知られずにうずくまっておりました。
皆、花に夢中で気づくはずもない瓦の一片に、お互いだけが分かりあえたような親しみを感じ、そっとハンカチに包み、持ち帰りました。

明治初期までは、公家屋敷が建ち並んでいた土地の歴史から考えると、江戸時代以前の瓦なのかもしれません。

瓦の欠片(かけら)

この欠片をみる度、きっと思い出すことでしょう。 桜は華麗。 梅は可憐。 と。
 

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