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アトリエかわしろ一級建築士事務所

Author:アトリエかわしろ一級建築士事務所
「がま口から建築物まで」
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02月01日(金)

ヨウジヤマモト のレザーベルト

どこのショップでもだいたいそうなのですが、ジャケットやシャツ、パンツなどに比べて、ベルトのデザインや素材の質、種類やサイズの展開が少ないことに疑問を感じたことはないでしょうか。
そこで以前、徹底的にレザーベルトを探しまわってみたことがあるのです。 ところが、それなりに名の知れたブランドであっても、ベルトは ついで のような存在なのか、洋服ほどに力を入れた様子はなく、数自体も決して多くはないのでした。 からだの中心に身に付けるモノなのに…。

たとえば、リーバイス501を小奇麗に穿くために白いレザーベルトがあるといいな。 と思ってみても、きちんとした品質とデザインのベルトそのものに出会えないこともしばしば。 といった状態で、ためしに普段は立ち入らない10代から20代前半くらいをターゲットにしたファッションビルのメンズ・フロアに足を運んでみると、いろいろな横文字の聞いたこともない名前のブランド・ショップがあって、そんなところであれば、白いレザーベルトも置いてあったりはするのですが、値段の割にはレザーの質が悪く、しかも、金属のバックルにはさして意味もない 飾り があったりするのです。
隣のショップもなぜか、似たり寄ったりの雰囲気で、どこがどう違うのか僕にはさっぱり区別がつかず、そこの白いレザーベルトもそっくり同じような商品を置いてあるのですが、どうやら、刻まれたブランド名の文字だけは確かに違っているようでした。
そのような製品は、たぶん2・3年も使うとレザーがよれよれになって、その頃には飾りにも飽きたし、トレンドも変わってしまっているのでしょうから 「また別のモノを」 といった具合になって…。 どのショップも一見したところ個性があるようで、実は大して個性がない。 そんな、つくり手の想い入れのない商品は結局、短いサイクルで消費されゴミになってしまうというのに、レザーが一体どこから来るのか考えてみると 「これはおかしい !」 と気付くのが普通だと思うのですが。

いろいろと探してみたけれど、どうも僕の目でみたところ 「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」 が、質・デザインともに良いように思われました。 単価が高く利益の上がる洋服の種類自体がそれ程多くない割には、小物的な扱いで単価も低い、しかもそんなに目立たない存在のベルトなのに、このブランドではそこそこの種類が揃っているのです。
そこには白い、いかにもデニムに似合いそうなレザーベルトもきちんと置いてあって、洋服のように強烈な個性はない、一見したところありふれた白いベルトは、分厚いデニム生地に負けないくらいのかっちりとしたつくりで、レザーの太さも厚みも、バックルのカタチも、実際 非の打ち所のない バランスで、レザーは外側だけが白く染められ、あとはそのまま、ありのままの、何も隠しだてする必要のない 確かな質 を備えているのでした。

Yohji YamamotoとY'sのレザーベルト

その後、黒いパンツに似合いそうな、黒いレザーにメタルのバックルのあるベルトがあったらなと、いろいろと訪ね歩いてみましたが、ヨウジヤマモトと同じく 山本耀司 がデザインを手がける 「ワイズ(Y's)」 というブランドに、やはり僕のイメージに近いベルトが、不思議と置いてあったりするのでした。
ちなみにこちらはレディスの製品なのですが、ウエストに きゅっ と巻いたときに、端が後ろにまわるくらいに長くつくられていて、帯のように垂らしてみたり、あるいはジャケットの上にさらりと巻くこともできる余地が残されているので、女性だけでなく、女性よりもウエストの太い男性にも 応用がきく というわけです。 デザイナーも 「帯」 のイメージを想い描いたのでしょうか。 実際レザーは薄く、しなやかでやわらかく、しかしバックルはがっしりと、ベルト穴がなくても自在に留めがきく頑丈なつくりですが、輪郭のカーヴはあくまでも美しく、決して無骨ではない。 からだの中心に身に着けるにふさわしい品格は十分に持ち合わせているのです。

帯といえば、高校生の頃友人と、四大流派のひとつにあたる空手の試合をみたことを記憶しています。 いまだに深く印象に残っているのは、上級者と思われる選手たちの締めている黒帯が、どれもかなり年季のはいったもので、帯の結び目のあたりから染められた黒が白くはがれてしまって、なかにはほとんど白くなりかけたものまで見受けられたのでした。
基本的に道衣の帯は洗いませんから、5年や10年使い続けたくらいで黒い染料が落ちるとは、とても思えません。 おそらく、道場の先輩から後輩へと代々受け継がれてきた帯なのではなかろうかと…。
繰り返し繰り返し続けられる、気の遠くなるような稽古の積み重ねが、少しずつ少しずつ、黒く染めた帯を元の白い生地へと戻してゆく。 帯はからだの中心にあって、それを締めることが彼らの鍛錬の あかし なのだと、当時の僕は解釈したのです。
その後大学で空手をはじめましたが、僕たちが締めた黒帯は、もともとの生地の糸から黒かったとみえて、残念ながら、いくら稽古を重ねても、結び目から染めが落ちることはなかったのでした。

もう何年も使い続けているヨウジヤマモトのレザーベルトは、それでもいささかもヘタレルことなく、バックルはいよいよ金属らしく鈍い光沢を増し、白く染められたレザーは角の染料が時間と共に少しずつはがれ始めて、かつての少年が憧れの眼差しでみつめた、あの 黒帯の記憶 がよみがえってくるのです。

Yohji Yamamotoのレザーベルト
 

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